距離変更と回収率

皆さんは前走から距離が変わる馬についてどう評価していますか?調教師や騎手によると、馬は自分がどれくらいの距離を走る必要があるのかを事前に理解することはできず、基本的に前走の距離に合わせるように走るみたいです。そのため、距離が長くなった場合は馬に余力がない状態で直線コースを走ることになり、逆に距離が短くなった場合は周りのスピードが速いので、追走に苦労することになります。

一方で、GⅠ9勝を挙げたアーモンドアイが2020年安田記念で最強マイラーであるグランアレグリアに負けたように、競走馬にはそれぞれ適正距離があります。そのため、距離変更がプラスに働く場合もありますし、逆にマイナスに働くこともあります。

今回は距離変更が回収率に与える影響について、統計データを基に解説したいと思います。

対象レース

まず、対象とするレースを次のように定めます。

  • 期間:2015〜2020年
  • クラス:重賞
  • コース:芝
  • 距離:1400〜3000m
  • 出走頭数:15頭以上
  • 除外:3着以内に同着があるレース

※距離を1400m以上としている理由はこちらをご覧下さい。

※出走頭数を15頭以上としている理由はこちらをご覧下さい。

距離変更別の勝率・複勝率

距離短縮の勝率・複勝率が高いことが分かります。逆に、距離延長は勝率・複勝率ともに低いですね。

ただし、勝率・複勝率が回収率に直結するわけではありません。回収率も見てみましょう。

距離変更別の回収率

回収率はどれも変わらないですね。残念ながら距離変更の有利不利はオッズに反映されているようです。

距離変更別の回収率について、もう少し詳しく見てみましょう。

距離延長を「+400〜+1200」と「+100〜+300」に、距離短縮を「-100〜-300」と「〜400〜-1200」に分けてみました。

「+400〜+1200」と「-400〜-1200」の回収率が若干高くなっています。少しずつ傾向が見えてきましたね。

3つのレースパターン

どのレースにも距離延長・同距離・距離短縮の馬が揃っているわけではないですよね?例えば、日本ダービーは3歳馬だけが出走できる芝2400mのレースなのですが、それまでに3歳馬が出走できる重賞レースの中で最も長距離なのが青葉賞(芝2400m)なので、ほとんどの馬が距離延長もしくは同距離となります。

このことを踏まえて、レースパターンを次の3つに分けました。

  • 距離延長・同距離・距離短縮が存在する
  • 距離延長・同距離のみ
  • 同距離・距離短縮のみ

それぞれの回収率を見てみましょう。

距離延長・同距離・距離短縮が存在する

「+400〜+1200」と「-400〜-1200」の回収率が高くなっています。「+100〜+300」の回収率は低めですね。

距離延長・同距離のみ

こちらは「+100〜+300」の回収率が高く、「±0」の回収率が低いという結果になりました。

同距離・距離短縮のみ

「-400〜-1200」の回収率が高く、「±0」の回収率が低くなっています。

2歳戦の距離変更

2歳馬や3歳馬はキャリアが浅く、距離変更に戸惑う場合が多いと聞きます。そこで、2歳戦の距離変更別の回収率を調べてみました。

同距離の回収率が高いということは、やはり2歳馬は距離変更に対応するのが難しいのだと思います。

脚質ごとの距離変更別の回収率

脚質と距離変更の関係性も気になります。逃げ馬が+400m以上の距離延長を試みた場合、勝ち目は薄いって普通思いますよね?

まず、次の表に基づき、前走の出走頭数と第3コーナー通過順から脚質を判定します。

そして、脚質ごとに距離変更別の回収率を算出したので、結果を見てみましょう。

脚質ごとに傾向があるのか、データにバラつきがあるだけなのか良く分からないですね。少なくとも逃げ馬が距離延長となっても回収率が下がるというわけではなさそうです。

まとめ

・勝率・複勝率は 距離短縮 > 同距離 > 距離延長。しかし、回収率に差はない。

・+400以上の距離延長、-400以上以上の距離短縮は回収率が高い。

・2歳戦は同距離の回収率が高い。

・逃げ馬が距離延長となっても、回収率が下がらない。脚質ごとの距離変更別の回収率にはっきりとした傾向はない。

大幅な距離延長や距離短縮となる馬は回収率が高い傾向にあることが分かりました!それはつまり、皆さんが思っているより距離変更は勝敗に影響しないことを表しています。

良さげな逃げ馬を見つけた時、大幅な距離延長だったとしても切ってはいけませんよ!